2021年3月31日、京都市立芸術大学で入学生徒135人の個人情報が流出したことが発表されました。
流出の原因は教員のメールアドレス「Gmail.com」向けに送信する予定が、「l」を入力し忘れて「Gmai.com」で送信してしまったためです。
この記事では今回の京都市立芸術大学で起きてしまった情報流出の原因「Gmai.com」について解説します。
・Gmai.comとは?
・本当に実在するドメインなのか?
・今回のケース同様の被害は過去にあったのか?
・誤送信を防ぐための方法
などについてまとめました。
Gmai.comとは?
Gmai.comとは見てわかる通りGmail.comに似せて作られたドメイン。
本当に実在するもので、打ち間違いを狙った悪質な情報収集用ドメインです。
Gmai.comに誤ってメールを送信してしまったことで、何かおかしなメールが届くようになったというケースはまだありません。
個人的なメールの場合はそれほど大きな被害を心配する必要はないように思えますが、今回の京都市立芸術大学での情報流出のように企業で誤って「Gmai.com」に情報を流出させてしまったとなると信用問題に傷がつくため注意が必要です。
Gmai.comはGoogle関連のドメインではない
Gmai.comはGoogle関連のドメインとは全く関係のないものです。
利用者の多いドメインに似せて作られたいわゆる「ドッペルゲンガー・ドメイン」といわれるもので、引っかかった人の情報を収集したり、悪質なものになると詐欺サイトに誘導するケースもあります。
GmailアドレスのほかにもYahooやなどにもドッペルゲンガー・ドメインは存在するため、メールを送信する際には注意しなくてはいけません。
ニセモノドメインで12万通のメールが届いた調査結果も
海外で行われたドッペルゲンガー・ドメインに関する衝撃的な調査をご紹介します。
有名な企業のドメインによく似たドッペルゲンガー・ドメインを取得し、すべてのメールを受信する設定でメールサーバーを6か月間設置するという単純な調査でした。
どんなドメインを取得したのかは明らかになっていませんが、最終的には6か月間で12万通ものメールが届くという結果に。
このメールの中には、企業の請求書や人事情報、ユーザーアカウント情報などが含まれたものも多数あったそうです。
この調査結果を見てわかる通り、打ち間違いが原因で重大なデータすらも簡単に流出してしまいます。
それも6か月間で12万通ですから、1か月あたり2万通ものメールが知らない人に届いている計算です。
メール送信前にはよく宛先を確認することをおすすめします。
ドッペルゲンガー・ドメイン調査書原文はこちらから見れます(英語)
⇒Doppelganger Domains
Gmai.comによる情報流出被害ケース
Gmai.comに誤ってメールを送ってしまった情報流失被害ケースをいくつかご紹介します。
京都市立芸術大学:生徒135人の情報流出
最近のGmai.comによる情報流出被害ケース。
冒頭にもお話したケースですが、京都市立芸術大学で教員向けにメールを送るはずが誤ってGmai.com向けに送ってしまったというものです。
この件では、生徒135人の氏名や性別、出身校などが流出しています。
新潟県:法人資料・計画書・メールアドレスの流出
2020年2月に新潟県で起きた情報流出被害です。
新潟県上越地域振興局農林振興部にて、職員が所属長の許可を得ず自宅用メールアドレスへ送信したが、誤ってGmai.comに送信。
法人終始関係資料、法人指導計画書、職員メールアドレス2件の情報が流出してしまったケースです。
宮城県:パソコンボランティア名簿の情報流出
2019年4月に宮城県で起きた情報流出。
委託業務実施場所宛てにパソコンボランティア名簿を送付したはずが、打ち間違いによってGmai.comに送信してしまったケースです。
パソコンボランティア名簿に記載されていた個人情報37名分が流出してしまいました。
Gmai.comへの誤送信を防ぐGmailの機能が便利
Gmailには、誤送信を防ぐメール送信取り消し機能が実装されています。
Gmailからのメール送信であれば、メール送信後5秒~30秒の間は送信を取り消すことが可能です。
取り消し時間は最大30秒まで自由に設定できるので、自分に合った時間を設定しておくとよいでしょう。
PC版の設定方法
5秒、10秒、20秒、30秒から好きな時間を設定できます。
iOS版の設定方法
iOS版で設定は必要ありません。
メール送信後に「元に戻す」という表示が出てくるため、誤送信の場合はこれをタップすると送信を取り消すことが出来ます。
Gmai.comとは?まとめ
Gmai.comはGmail.comに似せて作られたドッペルゲンガー・ドメイン。
大きな被害はまだないものの、一文字入力ミスをするだけで重大な情報流出に繋がってしまいます。
現在はGmailに送信取り消し機能が備わっているため、この機能を上手く利用しつつメール送信前にも宛先をチェックすることが大切です。
Gmailに限らずドッペルゲンガー・ドメインは数多く実在しているため注意しましょう。